身体を通り抜けて

色んな男が私の身体を通り抜けていったのだ、といった文章を読んだ記憶がある

時たま思い出すのだが身体を通り抜けていくのは何も性交渉した男だけではないよな、過去、その過去にいる自分、まわり、自分の感情、全てが私たちを通り抜け、滞り、滞る

この感覚を人と共有した記憶はないのだが
自分が実存することと向き合い目が覚めるような、恐ろしいものに対峙するような、目を見張り辺りを見渡してしまうような、そんな感覚に陥ることないだろうか

俯瞰視とでも言うのか、自分の生、個としての認識を改め、その重さと刹那性に衝撃を覚えることはないか

私はあって、その度途方に暮れてしまう

Day dreaming in Guam

ベッドに座り壁に頭を預け聴いていた。
ぼうっとしていたら今親しくしている男の子の綺麗に上に向かって円弧を描く睫毛を想った。
陽の光の中でそれを慈しんでいた。鼻でなぞったりただ見つめたりしていた。
彼の巻き毛の髪も思った。栗色に近い金髪をやたらと右に流そうとする癖がある。触ると想像するほど柔らかくない、そんなことを思っていたらふわふわとした元恋人の髪の感触が目の前にあった。すごく柔らかくて気持ち良かった。からだは大きな彼だった。彼の頭、彼の目元も浮かんできた。
瞼は閉じられていた。彼の睫毛は彼の睫毛ほど金色ではなく、長くても円弧は描いていない。
若くて細いあの子の睫毛は金色で円弧を描いている。私はあの子の睫毛を見ていると天使を想う。
大きな彼の瞳はもう思い出せなかったけど彼の瞳も青かった。

世界で一番欲しいもの

電車に揺られている。

世界で一番欲しいものを友人が手に入れた。
近くにいる友人だ。大好きな友人。嬉しい。妬ましい。嬉しい。妬ましい。

昨晩から沈んでいる。ぼんやりしている。

友人たちに会うため電車に乗っている。
今日は天気が良くて19時を過ぎても暖色という言葉が似合う夕日が車内に差し込んでいる。
「君っていい匂いだ」と抱き合えばお約束のように言ってくれる男の子について想った。それは唐突で、シャワーを浴びた自分の髪の毛が顔に触れたことでも関係あったのだろうか。気持ちがまるく、軽くなる。

この男の子は私が欲しいものを手に入れた友人と同一人物だった。
私がここ22時間近く塞ぎ込んでいる発端の友人とこの男の子は異なる人格のように私の脳裏に浮かんだ。ぼんやりとそれってどんな香りなんだろうと思ったあと、あれ同じ人だなあと思った。

妬ましくて情けなくて羨ましくて苦しくって不安な自分と彼を祝福し誇らしく嬉しく世界に自慢したい自分の分離を認めるためかのように、私の肩に頭を乗せ香りを褒める彼はひらりと登場し去った。


とか打っていて友達と合流したら憂鬱が全て吹き飛んだ。
生きてこうね。弱い自分、余りある情けなさも抱いて生きてこう。

Be More Chill 3/8/20

Be More Chill 3/8/20

The Other Palace Threatre

 

ダサかった、、、

セットも衣装もチャチなのは仕方ないとしても、振付や演出やユーモアが圧倒的にダサかった。

しかし劇場は大変に盛り上がっていた。前職の上司に同行し観劇したのだが二人して「身内か?」「関係者か?」と憶測を立てるほどの我らとの温度差だった。

 

しかし終演後に周りを改めて見渡して思った。

周りは若い、あまり冴えない子たちが多かったのだ。

ハッとした。ダサさが響く層。先ほどから言い方があんまりだがこれ以上に適切な表現はないように思う。痺れるようなキメてくる演出やセット、衣装を求めていない層を初めて目の当たりにした。

 

The Other Palace Theatreは決して小さい会場ではない。調べてみるとメインシアターのキャパシティは300ほどらしい。

同行した上司も私も、スクールヒエラルキーなど下らない概念を用いてしまうなら真ん中より高い位置に属してきた人生だった。