きっと今日の朝方

元彼の夢を見た。見たことさえ忘れていたけどソーシャルメディアでひょっこり出てきたアイコンを見た瞬間ありありと蘇ってきた。

ホテルの中華レストランの大きめの個室に私はロンドンで仲良くしてる連中といて彼は個室を出たところにいた。肌は一緒にいた頃よりツヤッとして相変わらず少し丸くて、気まずくならずに話ができた。いつ帰国するの?と聞けば難しい顔でわからないねと答えるので「そりゃこの状況だもの」と私は即座に聞いたことを悔いた。コロナは名前は失えど夢の中で先行きが見えずいつ帰国できるかもわからないクライシスとして変わらず存在していた。航空券を取るアプリの画面が夢の中の私の頭にチラついた。

会話の中で婚約者と続いているとわかって寂しさや落胆とも言えぬ、ふわりと一瞬沈みまたすぐ浮き上がるような気持ちの上下を認めた。以上だった。何か笑いあえる瞬間があって私は付き合っていた頃のように思わず彼の頭の後ろ、首やその付け根辺りに手をやったんだけどその時に触れた感触が本物だった。柔らかくてあったかい。付き合っていた頃のままで夢の中で静かに息を呑んだ。彼は朗らかにしていて私は幸せだったけど現実の彼は馬鹿に真面目だから婚約者を思って気まずそうな顔をしていたことだろう。なんてことは起きた今思うことで、その瞬間は笑い合えることがすごく嬉しかった。